アメリカ西部の名門校スタンフォード大学が日本の高校生を対象に開いている「Stanford e―Japan国際異文化教育プログラム(SPICE)」で、さいたま市立浦和高校の3年生が最優秀賞に選ばれた。全国の受講生28人のうち受賞したのは3人だけで、学校関係者も驚いている。

 受賞したのは同校インターアクト部3年の古谷碧唯(あおい)さん。インターアクト部は主に国際交流やボランティアに取り組んでいるが、英語ディベートも活動内容に入っている。全国高校生英語ディベート大会では全国優勝6回を数え、いまや同部の看板でもある。

 古谷さんは市立浦和中3年生の時に興味を持ち、仮入部した。インターアクト部顧問の浜野清澄教諭は「初めは、大丈夫かと思うほどたどたどしかったが、みるみるうちに上達した」と話す。昨年の英語ディベートの全国大会では、見事な英語力を発揮し3位に入った。

 今回のスタンフォード大学の教育プログラムは、先輩が受講していたのを見て挑戦を思い立ったという。誰でもすぐに受講できるわけではなく、地域への貢献や自身のPRなどの内容を盛り込んだ英文と動画を提出したうえで選抜される。昨年12月に申請し、1月に合格通知が届いた。

 教育プログラムは毎週土曜日の午後1時から約90分、オンラインで実施される。日本の大学のように毎週決まった授業ではなく、週ごとに「日米関係」「宗教」など違ったテーマで、大学教授や外交官らがホストとなってオンラインでやりとりをする。

 教授側が指定した資料や映像の感想を提出するという課題もある。「このエビデンス(根拠)は信頼性が薄いといった厳しい評価もあった」と古谷さん。高校の授業との両立も大変だったという。

 約4カ月の授業を受けた後に、自身の関心のあるテーマで論文を提出する。古谷さんが選んだのは、昨年のディベートのテーマになった「代理母」。「日米を比較したらおもしろいかもしれない」と考え、「代理母政策における日米比較」をワードファイル10ページ分(約2600字)で書き上げた。参考文献は20冊ほどで、完成まで約1カ月かかったという。

 授業の成績と論文が高く評価され、最優秀賞をとった。「みんなは授業に出たテーマで論文を書いたが、私のテーマは他の学生よりユニークだったので選ばれたかもしれない」と古谷さん。浜野教諭も「スタンフォード大から最優秀を受けるなんて、うちの高校だけでなく、埼玉でもめったにないことで誇らしく思う」。来年夏には同大に招待され、研究発表をする予定だ。

 古谷さんは「将来は国連でマイノリティーの人権保護に尽力することが、私の夢です」と話している。(佐藤太郎)

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