女性が11階に収容されていた東京入管=東京都港区で(池尾伸一撮影)
◆日記に書いた実態と不満
女性は当初から8日にも強制送還されるとみられていたが、所持金がほとんどなく、母国ブラジルに身寄りもない。 こうしたケースでは、国連の関連機関である国際移住機関(IOM)から、帰国後の住居探しや家賃の援助、職業訓練などの支援を受けられる。 しかし、複数の支援者によると、女性は「入管に、IOMの支援を受けると二度と日本に入国できなくなると言われた」と語っていた。支援者らは、入管が女性を早く帰国させようと虚偽の説明をした可能性があるとみて、女性に再確認するようアドバイスした。東京入管の職員の説明が変わり、「なんでうそ言われたの?」「バカにされた」などと不信をつづった女性の11月6日の日記(支援者提供)
女性が支援者に託した日記には、6日に再確認し、職員の説明が変わった様子が書かれていた。 「昨日までは ”にどっと(編注:二度と)” といわれたけど、今日はもう一度きいたら ”にどっと” のは言わないけど ”もどるのむずかしくなる” しか言わない」(原文ママ) 実際には、IOMの支援の有無は、再入国には影響しない。女性は日記に「なんでうそ言われたの?」「バカにされた!!!」などと不信感をつづっている。◆法相は虚偽説明を否定、対応も「適切だった」
会見する牧原秀樹法相=東京都内で(池尾伸一撮影)
牧原秀樹法相は8日の閣議後記者会見で、「IOMの支援を受けても、二度と入国できなくなるということはない」と説明。入管職員が虚偽説明をしたかどうかについては「(職員は)再入国できなくなるという説明はしていないと私は聞いている」と否定した。 女性はブラジルの施設で孤児として育ったが、日系人夫婦の養子になり、12歳の時に一家で来日。だが、夫婦とは疎遠になり、専門学校在学中にうつ病も発症。学校に通えず「留学」の在留資格を失い、オーバーステイ(超過滞在)だとして8月に東京入管に収容された。 病気をきっかけに在留資格を失い収監された経緯を巡っても、支援者からは「人道的配慮に欠ける」などの批判があがる。これに対し、牧原氏は「東京入管の対応は適切だった」と話した。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。