専門家でつくる検討会は8日、気象庁で定例の会合を開き、南海トラフの想定震源域やその周辺で観測されたデータを分析しました。
このうち「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されるきっかけとなったことし8月の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震のあと、宮崎県南部を中心にゆっくりとした東向きの変動が観測されていますが、このクラスの地震で通常みられる変動の範囲内だということです。
また巨大地震の震源とされる陸側と海側のプレートの境界付近では「深部低周波地震」と呼ばれるごく小規模な地震が、四国東部で先月10日から19日にかけて、四国西部で先月末から観測されていて、ほぼ同じ時期に周辺の複数の「ひずみ計」でわずかな地殻変動も観測されています。
いずれも想定震源域のプレート境界が数日から1週間程度かけてゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」が原因とみられ、過去、繰り返し観測されているということです。
また衛星からの観測で2019年の春ごろから四国中部で、2022年初頭以降に静岡県西部から愛知県東部にかけてそれぞれ観測されているこれまでとは傾向が異なる地殻変動は、プレート境界の深い場所が年単位でゆっくりとずれ動く「長期的スロースリップ」が原因とみられ、これまでも繰り返し観測されているということです。
このほか静岡県の御前崎と和歌山県の潮岬、高知県の室戸岬で長期的にみられる沈降は海側のプレートの沈み込みに伴うもので、大きな変化はないとしています。
これらを踏まえ検討会は「プレート境界の状況に特段の変化を示すような地震活動や地殻変動は観測されていない」とする評価結果をまとめました。
検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は「毎年のようにどこかで大きな震災は起きているので、自分が住む場所でも起きると考えて備えてほしい」と話していました。
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