東京電力福島第1原発事故で2号機に溶け落ちて固まった核燃料(デブリ)の微量を採取する計画で、東京電力は7日、デブリの回収を完了したと発表した。原発事故後、デブリを格納容器から回収したのは初めて。東京電力はこれを分析し、本格取り出しの計画作りに役立てたい考え。今回回収したデブリはごくわずかな量だが、トラブルが相次ぎ、当初予定の2021年から3年遅れで実現した。

◆1〜3号機に推計約880トン 取り出しは最難関の作業

 東京電力によると、この日午前、作業員が格納容器に隣接するスペースに設置されている採取装置から、デブリが入った容器を取り出し、運搬用の箱に収納した。

はさみのような器具でつかんだデブリを容器に入れる様子=東京電力提供

 回収したデブリは直径5ミリほどの小石状で3グラム以下とみられる。20センチの距離で推定毎時0.2ミリシーベルトだった。茨城県の日本原子力研究開発機構の研究所で成分などを分析する。  廃炉に向けて、デブリの取り出しは肝だが、東電は全量を取り出すまでの具体的な工程を示せず、道のりは険しい。デブリの堆積量は、1〜3号機に推計約880トン。事故から13年の今も高い放射線を出し、人が近づき短時間浴びれば死亡するレベルで、取り出しは最難関の作業とされる。  デブリ採取は延期が繰り返された。今年8月22日には着手寸前に採取装置に使うパイプの配置ミスで延期。着手後の9月17日には装置のカメラの映像が遠隔操作室に届かなくなり中断していた。(荒井六貴、山下葉月) 

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