◆「責任は他の実行役を大きく超える」
菅原暁裁判長は判決理由で「実行役の中でリーダー格を務め、責任は他の実行役を大きく超える」などと述べた。 永田被告は起訴内容を全面的に認め、弁護側は「最も責められるべきは犯罪の首謀者の指示役」などとして有期刑が相当と主張していた。事件があった東京都狛江市の住宅=2023年1月23日、本社ヘリ「おおづる」から(伊藤遼撮影)
判決によると、永田被告は別の実行役3人らと共謀し、昨年1月19日午前11時半ごろ、狛江市の女性宅に宅配業者を装って侵入。女性をバールで多数回殴るなどの暴行を加えて死亡させ、腕時計など4点(計59万円相当)を奪ったほか、5件の強盗事件などに関わった。 狛江の事件は一連の広域強盗事件で唯一、被害者が死亡した。実行役の当時19歳の元大学生の男(21)は9月6日、同支部で懲役23年の一審判決を受け、控訴している。 ◇◆うなずきながら判決要旨に聞き入った被告
「極刑を求める遺族の感情は理解できる」「一連の事件で果たした役割は相当大きい」。菅原裁判長が判決要旨を読み上げる間、グレーのスエット姿の永田被告は何度もうなずいた。 公判で、永田被告は繰り返し死刑を求めてきた。第3回公判では弁護人の質問に、スエットの袖で涙を拭いながら「遺族のために死刑になる必要がある」と答えた。論告求刑公判では「極刑を下してください。心からお願いします」と強い口調で訴えた。◆「一般の人を殺すのはただのクズ。終わったな」
被告人質問では、よどみなく犯行の経緯や内容を語った。証言によると、20歳の頃に競艇にのめり込み、借金を重ねた。返済と競艇の資金づくりのため、交流サイト(SNS)で犯罪に加担すると知りながら、「闇バイト」を探した。初めて加わった窃盗事件ではいちメンバーだったが、次の強盗事件からは実行役のリーダーを任され、仲間から「ヘッド」と呼ばれた。 狛江市の事件では、指示役から住人について「投資詐欺でカネを集めている」と伝えられていた。住人の女性をバールで殴った後、画像を指示役に送信すると「人違いですね」と笑い声が返ってきたという。 「悪いことをしている人は悪いことをされても良い」と考えていたが、女性は投資詐欺とは無関係だった。「一般の人を殺すのはただのクズ。終わったな」と頭の中が真っ白になった。◆「謝罪の気持ちがあるなら…」裁判長の説諭
逮捕後、担当検事から薦められた死刑に関する本を読み、「被害者遺族の悲しみは一生続く。死刑でなければ償えない」と考えるようになった。犯罪被害に関する書籍も読みあさった。裁判で詳しく証言したのは「被害者への償いは、これ以上(闇バイトの)加害者を出さないこと」と検事に言われたことが理由と述べた。 中学時代に高齢者施設でボランティアをし、高校の介護福祉科に進学したことや、高校時代に初めてアルバイト代をもらってうれしかった思い出も語った永田被告。判決言い渡し後、菅原裁判長から「謝罪の気持ちがあるのならば、あなたなりに何ができるのか、刑に服している間ずっと考え続けてほしい」と説諭されると、深々と頭を下げて法廷を後にした。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。