東京電力福島第1原発事故で2号機に溶け落ちた核燃料(デブリ)を微量採取する計画で、東京電力は5日、格納容器底部から採取し収納箱で保管中のデブリの放射線量を測り、基準を満たしているとして、7日以降にも回収すると発表した。  東京電力によると、デブリから1メートルの地点で線量を測り、20センチ地点換算で毎時0.2ミリシーベルトだった。作業員の被ばくを抑えるため毎時24ミリシーベルト以下とした基準を下回ったと判断した。格納容器に隣接するスペースに設けた収納箱の中で放射線を遮る容器に遠隔操作で入れ、7日以降に作業員の手作業で容器を取り出し、樹脂製の箱に移す。箱に入れれば回収完了で事故後初となる。

東京電力福島第一原発の2号機(2023年撮影)

 東京電力の担当者は5日の記者会見で、線量が低いことから、デブリ以外の堆積物を採取した可能性を問われ、採取場所からデブリとの認識を示した上で「詳細を調べて、どういう物かを判断したい」と説明した。  採取したのは直径5センチほどの小石状。茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構の研究所に移送し、成分などを分析する。東京電力は炉内の状況の推定や本格的なデブリ取り出しの工法の選定に役立てたいとする。1~3号機に堆積するデブリは推計880トンに上り、全量取り出しの見通しが立つのかは分からない。  採取はパイプ接続順のミスで遅れ、9月10日に着手。カメラ映像が届かないトラブルで中断し、10月28日に再開した。(荒井六貴、山下葉月) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。