気象庁によると、熱中症警戒アラートは全国を58に分けた予報区を単位に、その地域内の「暑さ指数(WBGT)」が33以上になると予測した場合に発表する。発表状況は環境省の「熱中症予防情報サイト」で確認できるほか、事前に登録すればメール配信サービスで情報を入手できる。

暑さ指数(WBGT)は、気温のほかに湿度、日射量などから推定する熱中症予防の指数。近年は一般向けのWBGT測定器も市販されている。28以上で、熱中症患者発生率が急増する。

熱中症公開アラートは2021年度に全国で運用を開始。初年度の発表回数は延べ613回だったが、3年目となる23年度は同1232回と倍増した。

23年度の警戒アラートはほとんどが8月、7月に集中したが、9月に66件、6月に5件、5月にも1件発出された。23年度の発出回数トップは新潟県と長崎県の42回。東京都は26回、愛知県は28回、大阪府は19回、京都府は29回だった。

24年度から導入される「特別警戒アラート」は、暑さ指数の予測値が全ての観測地点で35以上となった都道府県を対象に、環境省が前日に発出する。これまで特別警戒アラートに該当する暑さになった事例はないが、もしアラートが発出された場合、自治体はあらかじめ用意していた避難用の「クーリングシェルター」施設を開放することなどが求められている。

気象庁によると、熱中症による救急搬送人員は、近年は毎年4万人から9万人前後で推移。死亡者は2018年から22年の5年間をみると、21年を除いて毎年1000人を超えている。

下図は、東京23区で23年夏に熱中症で死亡した164人の年齢を示したグラフ。70歳代以上が76%を占めており、高齢者は十分な熱中症対策が求められる。屋内での死亡者148人をみると、「エアコンがあっても使っていなかった」ケースが64%、「エアコンを所有していなかった」ケースが26%。9割がエアコンなしの状態で容態が悪化していた。

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