公開されたのは、リニア中央新幹線の起点となる品川駅の工事現場です。

新しい品川駅のホームは、東海道新幹線の駅のホームからおよそ40メートル下の地下部分に設置される予定で、今は13メートルほどの部分を下に掘り進めています。

事業を進めるJR東海が、計画や工事への理解を深めてもらいたいと2日からの連休にあわせて初めて地元の人たちに工事現場を公開し、4日は15人が参加しました。

現在、この工事のために開発された特殊な掘削機械を使って掘り進めていて、穴の壁面には土が崩れるのを防ぐためのくいが打ちつけられていました。

参加者は配布されたタブレットで壁に貼られたQRコードを読み込み、工事に使われている機械や駅の完成予想図を写真や動画で確認しながら、担当者から説明を受けていました。

また、工事中の今だけ頭上に東海道新幹線のレールが見える状態になっていて、車両が発着する様子をレールの裏側から興味深そうに観察していました。

新しい品川駅は3つの部分にわけて工事が行われていて、公開された現場の工期は、1年4か月後の2026年3月までだということです。

完成すれば長さおよそ900メートル、幅最大およそ60メートル、高さおよそ55メートルの地下の空間となり、2つのホームと4本の線路が設置される予定です。

JR東海は今後も工事を公開する機会を設けたいとしています。

JR東海の担当者は「ふだん、ご覧いただくことができない工事現場を住民の方々に実際に見ていただき、より身近に感じてもらいたいと企画しました。より安全に、一日も早い開業を目指して頑張ってまいりたいです」と話していました。

参加した人は

参加した70代の男性は「工事がどんなものなのか分からなかったですが、実際に見てすごいことをしているなと感じました。どういうものができるのか待ち遠しいです」と話していました。

60代の男性は「静岡で工事の着手が延びましたが、これだけの人と費用を費やし地道に進めているので、生きているうちに乗ることができたらと夢見ています」と話していました。

40代の女性は「見るものすべてが新鮮で楽しかったです。リニア中央新幹線は速くて、怖いなと思っていましたが、担当者と話して仕組みがわかり、早く乗ってみたくなりました」と話していました。

リニア工事の現状 井戸の水位低下や地盤沈下も

JR東海は、南海トラフ巨大地震を念頭に大地震に備えるため、東海道新幹線を残したうえで、3大都市圏を結ぶ大動脈を二重で確保しようと、総事業費およそ9兆300億円に上る「リニア中央新幹線」の整備計画を進めています。

最高速度は時速500キロで、東海道新幹線と比べて東京・品川と名古屋の間はおよそ1時間短い40分、東京・品川と大阪の間はおよそ1時間15分短い1時間7分で結ぶ計画です。

JR東海は品川・名古屋間で工事を進め、この区間は当初2027年の開業を目指していましたが、水資源や生態系など環境への影響をめぐって静岡での工事が進まず、計画は大幅に遅れています。

こうした中、ことし5月に就任した静岡県知事は9月、流域の自治体の承諾が得られたなどとして、ボーリング調査の実施を了解するとJR東海に伝えています。

静岡での工事は10年程度かかるとされ、仮に今すぐ着工したとしても開業は2034年以降になる見通しです。

また、岐阜県瑞浪市のトンネル工事現場の周辺では、井戸の水位の低下や地盤沈下が起きていて、JR東海は「工事による地下水の流出が影響している可能性がある」としています。

先月には、岐阜県知事や県内の市長らがJR東海に対し、リニア中央新幹線の早期実現を求めつつ、原因の究明や被害の拡大防止などを要望しました。

さらに、県の環境影響評価審査会では出席した専門家がJR東海に対し、沈下がどこまで進む可能性があるのかや、生活にどのような影響が起きうるのかを示すよう求めています。

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