宇宙飛行士に認定されて、思いを語る米田あゆさん(左)と諏訪理さん=東京都千代田区のJAXA東京事務所で
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士に認定された米田あゆさん(29)と諏訪理(まこと)さん(47)が10月25日、本紙のインタビューに応じ、これまでの訓練を振り返るとともに、月探査への思いなど今後の抱負を語りました。 2人は、火星の有人探査の準備として月面での初の長期滞在の確立を目指す米国提案の国際月探査「アルテミス計画」での活躍が期待されます。参画する日本は「2020年代後半に、米国人以外で初となる日本人の月面着陸」を目指すとともに、月面の探査車を開発します。一方の米国は、日本人宇宙飛行士の2回の月面着陸の機会を提供します。 米田さんは「月は火星に行くための技術を実証する場でもあり、人類の成長を少しでも進められる宇宙飛行士になりたい」と話します。月面での探査車について「操作形態がハンドルなのかジョイスティックなのかまだ分からないけれども、日本の車が月面を走ることは非常に楽しみ。私自身もしチャンスがあるなら、実際に運転してその中で暮らしてみたい」と声を弾ませました。 諏訪さんは「実際に月とか火星に行くことによって、その星の成り立ちが分かって、地球の特性がよく分かる。(地球や月などの研究に関わる)大きなチームの一員として貢献したい」と願います。興味がある謎として「月の起源」に加え、「地球と似ていて液体の水があったが非常に乾いた火星と、生命のいる地球の分かれ目」を挙げ、「火星も視野に入ってこその月開発なんだろうなと思っている」と強調しました。 2人は昨年2月、宇宙飛行士候補者に選ばれ、JAXAに入った後、基礎的な訓練を重ね、今年10月21日付で正式に宇宙飛行士に認定されました。 米田さんは「大変だったのは、宇宙船が不時着した時のサバイバル訓練。重たい荷物を背負いながら、夜、睡眠時間が短い中で山をかき分けて進んでいく。限界と思っても、チームで声を掛け合い頑張れると気づかされた」と振り返りました。諏訪さんは「ロボットアームの操作は、ああ宇宙飛行士としての訓練をやっているんだなと実感があって、うれしかった瞬間の一つなのかな」と語りました。 2人は、今後は米国のジョンソン宇宙センターを拠点に訓練を積み、宇宙への任務決定を待ちます。米田さんは「どんなミッションでもやってみたい」、諏訪さんは「宇宙飛行士の視点が必要な技術開発にも貢献したい」と先を見据えています。 (増井のぞみ)
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