文部科学省は31日、2023年度に全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は11年連続で増加し、全体の3.7%に当たる34万6482人で最多を更新したとの調査結果を発表した。2022年度から4万7434人(15.9%)増えた。小中高などが認知したいじめは73万2568件で、長期欠席などが生じた「重大事態」は1306件で、初めて1000件を超えた。

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◆今年法令に明記「学外の学習成果も通知表に反映できる」

 増え続ける不登校の児童生徒には、自宅やフリースクールでの学習を日課にしている子も多い。文部科学省は今年、こうした形で学ぶ児童生徒を支援するため、学校外の学習成果も通知表の成績評価に反映できると法令に明記した。当事者や保護者は期待を寄せる一方、多様な学びに挑戦する子もいるため「教科以外の学びにも目を向けて」との声もある。

フリースクールでのオンライン授業。スタッフのゆっきーさんがマイクで呼びかけると、自宅などにいる約40人の生徒がチャットで次々に発言した=東京都品川区のSOZOWスクールで(一部画像処理)

 「通知表、あまり見ません。どの教科も斜線(『/』)ばかりなので」  三重県に住む小学校高学年女子児童の母親は言う。  娘は3年生の2学期から登校しなくなった。東京のオンラインフリースクールに入り、自宅でパソコンを通じて教科学習や動画製作に取り組む。フリースクールが学習活動の報告書を作り、在籍する公立小学校に提出している。  小学校から届く通知表では、フリースクールで学んだ日が出席日数となっている。だが、算数など教科の成績の3段階評価はどこにも『◯』がつかず、すべて『/』。母親は「見てもうれしくない」と話す。

◆「自分に合った学びで頑張れる人にもチャンスあるべき」

 文科省は8月、学校教育法施行規則を改正。不登校児童生徒が学校外で学んだ成果も学校の通知表の評価に反映できると明記した。同省によると、授業に自宅からオンラインで参加したり、フリースクールで学校の課題に取り組んだりしている子の成績評価を実践している学校もあるという。母親はこうした流れを歓迎しつつ、「教科だけでなく、娘が取り組む動画製作のような活動にも目を向けてくれれば」と願う。  「通知表の付け方より、高校受験が変わったほうが良いのかも」と話すのは神奈川県の公立中3年男子、むぎたろさん(15)だ。学校は嫌いではなく英語や数学が得意だが、宿題が多すぎて好きな音楽に取り組む時間がないことに悩み、中1の3学期から登校をやめた。今は午前はオンライン学習、午後はピアノや作曲など自ら立てた計画で1日の予定はぎっしりだ。

むぎたろさんの通知表。評価、評定の欄はすべて斜線だ

 むぎたろさんも通知表の評価欄は、全て『/』だ。自身は普通科への進学を考えておらず「問題ない」というが、「不登校でも勉強は好きで難関高を受験したい、という人もいる」。高校入試の判定に使われる内申書には成績評価が反映されるため、通知表が重要になる生徒もいる。  「自分に合った学び方で頑張れる人は、自分で選んだ高校でなら学べると思う。通知表も受験も、そういう人にチャンスがあるべきだと思う」と話した。(榎本哲也) 

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