弁護士事務所のホームページで投資詐欺などの被害金を取り戻せるなどとうたい、全国の約900人から計約5億円の着手金を集めたとされる弁護士法違反(非弁提携)事件で、着手金を支払った1都6県の男女15人が31日、警視庁が逮捕した元自民党衆院議員・今野智博弁護士=同罪で起訴=ら4人を相手取り、着手金返還など約1800万円の支払いを求め、さいたま地裁に提訴した。

2次被害について説明する弁護団=さいたま市の埼玉弁護士会館で

 提訴後記者会見した原告側弁護団によると、今野被告らはインターネット上の広告で「詐欺の被害金を取り戻す」と掲示。国際ロマンス詐欺やSNS型投資詐欺などの被害者に対し「高確率で全額に近い金額を取り戻せる」「任せてくれればお金は戻ってくる」など断定的な文言で勧誘した。

◆「戻らないリスクを説明する必要」

 だが、被害者が着手金を支払っても、実際に被害金の回収が行われることはほぼなかった。警視庁によると、今野被告は自身の弁護士名義を「事務所スタッフ」と称する業者グループに貸し、無資格者に法律行為をさせていたという。  弁護団の宮西陽子弁護士は「被害金の返還は難しく、回収できないこともあり、通常は(依頼者に)リスクを説明する必要がある。虚偽の説明で着手金を支払わせたことは不法行為にあたる」と話した。また弁護団は「弁護士や弁護士法人による誇大・違法な広告が2次被害を拡大させている」として、日弁連や各弁護士会に対し、広告の審査機関の設置などを求める声明を出した。(昆野夏子) 

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