同性婚訴訟 戸籍上、同性の2人の結婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法違反と訴えた裁判。原告らは婚姻の平等を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟と呼ぶ。2019年に札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5地裁に提訴。21年に東京地裁に追加提訴。これまでの地高裁判決7件のうち「違憲」「違憲状態」は計6件に上る。今月30日に高裁では2件目の東京高裁判決が言い渡される。
「プライドハウス東京レガシー」で話す共同代表の小野アンリさん(左)と五十嵐ゆりさん=17日、東京都新宿区で
衆院選の公示後、東京・新宿の性的少数者(LGBTQ)の情報発信施設「プライドハウス東京レガシー」を訪ねた。運営団体の小野アンリ共同代表(40)は同性パートナーとの結婚を望む一人。「同性婚は私たちの心や生き方に深く関わる問題なのに、時期尚早と先送りされる。今じゃなければいけない人はたくさんいるのに…」と話す。◆現状では「違憲」「違憲状態」とした判決は6件
同性婚の法制化を求めて2019年に各地で始まった訴訟では、同性婚を認めない現状を「違憲」または「違憲状態」とした判決は計6件に上る。直近の札幌高裁判決は「婚姻の自由」を定める憲法24条1項に違反するとの初判断を示し、国会に早期の議論と対応を求めた。経済界では、560以上の企業・団体が同性婚法制化への賛同を表明している。 こうした中、石破茂首相は9月の自民党総裁選での当事者団体のアンケートに「司法判断も参考にしながら考えていきたい」と回答。さらにTBSラジオの番組で「同性婚が認められないことで不利益を受けているとすれば、救済する道を考えるべきだ」と踏み込んだ。だが、自民の衆院選公約には記述がなかった。 「総裁選で、石破首相は同性婚に前向きな姿勢を見せていただけに残念」。同施設の運営団体の五十嵐ゆり共同代表(51)は話す。同性カップルについて昨年2月には、当時の岸田文雄首相の秘書官が「隣に住んでいたら嫌だ」などと差別発言をした。五十嵐さんは「ずっと軽んじられている。政治家には真剣に、人権問題として考えてほしい」と求める。 ◇ ◇◆「同性婚」衆院選投票の参考になるサイトは
衆院選の投票時の参考にと、政党や候補者の同性婚への賛否を示すウェブサイトなどが作られている。 公益社団法人「Marriage For All Japan—結婚の自由をすべての人に」(東京)は、主要政党と候補者の賛否を掲載したウェブサイト「マリフォー国会メーター」を開設。25日時点で候補者の52%が同性婚に賛成だとし「#その一票に同性婚の視点を」と訴える。 また、選挙ポスター掲示板にスマートフォンをかざすと、賛成候補者のポスターには虹色のアニメーションが流れる「PRIDE VISION(プライドビジョン)」を、東京の30選挙区など24日時点で全国246選挙区で利用できるようにした。 当事者団体「LGBT法連合会」(東京)は、同性パートナーの社会保障などLGBTQ施策について聞いた政党・候補者アンケート結果をホームページで公開した。(奥野斐) 【関連記事】同性婚認めないのは「違憲」と札幌高裁 どんな条文?「憲法24条1項に違反」と初の司法判断 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。