外国ルーツの子どもたちに日本語教育をする団体が常設の教室を開くためにクラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。トルコの少数民族クルド人へのヘイトが激化、子どもにも不安が広がる。安心して勉強したり悩みを相談できたりする「避難所」のような場所を目指している。

◆日本語に触れる機会を増やし、自立の助けに

川口市に開いた日本語教室「Mutlu(ムトゥル) わらび」=川口市内、ムトゥルはトルコ語で「幸せ」の意味という

 団体はNPO法人メタノイア(東京都足立区)。東京都内と埼玉県内で約10カ所の教室を運営。子どもや家族に日本語教師やボランティアが言葉や勉強を教える。教室は公共施設などを借り現在週1回ほどだが、代表の山田拓路(たくじ)さんは「日本社会で自立するための日本語習得には週1では足りない」と言う。

NPO法人・メタノイア代表の山田拓路さん=埼玉県川口市で

 最近はクルド人へのネット上の差別的投稿が急増。子どもたちも盗撮された動画を拡散されるなどして傷つく子が増える。山田さんは「いつでも行けて何でも相談できる常設の『逃げ場所』が必要」と言う。

◆8歳で来日したクルド人のアランさんが

 常設教室としてはクルド人の子どもらを対象に9月から開設する埼玉県川口市内の教室と、ウクライナ避難民や中国人が多い足立区の拠点を予定。日曜日を除き基本毎日開く計画だ。子どもたちの相談係も兼ね同じルーツの先生らにも在籍してもらう予定。  川口教室には大学で難民問題を研究するクルド人のアランさん(23)=仮名=が在籍する。難民として8歳で来日したアランさんはいじめられ転校した経験もある。遊びでサッカーに加わったのをきっかけに友だちができ日本語が上達した。

クルド人の学生アランさん(左)から日本語を教わるクルド人の子ども=埼玉県川口市で

 だが「きっかけがないまま日本語が十分習得できず、高校などに進めなかった人をたくさん見てきた。子どもたちの助けになりたい」と話す。ヘイト問題にも心を痛め「子どもらの悩みや生活相談にも乗りたい。同じクルド人だから話しやすいのでは」と言う。  CFの目標は500万円。寄付募集期限は31日まで。詳細はメタノイアのホームページで。(池尾伸一) 

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