東京都中野区の酒井直人区長は24日、閉館した「中野サンプラザ」の跡地に高層ビルなどを建てる再開発事業の計画を見直すと表明した。人件費の高騰や資源高で、事業費が想定より大きく膨らみ、見直しを余儀なくされた。

 酒井区長は「ここまでの事業費高騰は想定外だった。事業の見直しを速やかに進める」と説明した。ただ、「現在の中野サンプラザを解体する方針は変わらない」とし、取り壊しは予定通りとした。

 中野サンプラザはコンサートホールやボウリング場などが集まった複合施設として地元で長年愛されてきたが、老朽化などを理由に昨年7月、閉館した。

 区によると、跡地に建設が予定されていたのは地上61階、高さ約250メートルの複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」。高層棟にオフィスや住宅、展望施設、隣接する低層棟には収容人員7千人規模の大ホールやホテルが入る予定で、子どもの遊び場や会議室も整備する計画だった。今年7月の時点で事業費を2639億円と見込んでいた。

 だが、事業を担う野村不動産が9月上旬、区に人件費の高騰や物価高を理由に「工事費が900億円超増える」と連絡。区は今年度の着工を断念し、29年度内の完成も延期していた。10月11日には事業を担う4社が、都への事業の認可申請を取り下げていた。(木佐貫将司)

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