栃木県那須町の河川敷で会社役員夫妻の焼損した遺体が見つかった事件で、死体損壊容疑で29日に逮捕された指示役の男(28)が「被害者夫妻と面識はない」「(事件を)指示された」などと供述していることが捜査関係者への取材で分かった。警視庁と栃木県警の捜査本部は、指示役の男に事件を依頼した人物がいるとみて調べる。

 捜査本部は29日、会社役員の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)=東京都千代田区=の遺体に火をつけて損壊した疑いで佐々木光容疑者=住居、職業不詳=を逮捕した。

「居酒屋で報酬1千数百万円受け取った」

 捜査関係者によると、21日に同容疑で逮捕された建設業の平山綾拳(りょうけん)容疑者(25)=埼玉県越谷市=は調べに、「居酒屋で指示役に会った」と供述。事件当日の16日午前3時半ごろ、佐々木容疑者と品川区の居酒屋で接触しているのが確認された。平山容疑者はこの際に「1千数百万円の報酬を受け取った」と供述しているという。

 捜査本部は、佐々木容疑者を指示役とみて指名手配し、28日午後に沖縄県の那覇空港で確保。捜査本部は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると「上の人物に指示された。その内容を平山容疑者に下ろした」という趣旨の供述をし、被害者夫妻について「知らない」と話しているという。

 平山容疑者は「遺体の処理を頼まれ、自分は2人に依頼した」と供述。15日夜に自分の車を実行役の20代の男2人に引き渡していた。2人は夫妻と合流したとみられ、その後、その車が16日早朝に栃木県内を走行していることが確認されている。捜査本部は男2人を指名手配し、行方を追っていることも判明した。

 佐々木容疑者が確保された際、複数のスマートフォンを所持していたこともわかった。平山容疑者は、2人とやり取りしていたスマホについて「指示役に『出せ』と言われて渡した」と供述。捜査本部は押収したスマホの解析を急いでいる。(遠藤美波、長妻昭明、藤田大道)

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