厚生労働省は、新型コロナの影響による失業や休業で収入が減った世帯に対し、4年前からおととしまで生活費として最大200万円を無利子で貸し付け、382万件で、合わせて1兆4431億円が拠出されました。

会計検査院が調べた結果、このうち32%にあたる131万件、合わせて4684億円が、生活の困窮が続いているため返済免除が決まり、回収できなくなっていたことが分かりました。回収不能の総額が明らかになったのは初めてです。

ことし8月末時点でさらに14万件の免除申請が出ていて、来年1月以降に返済が始まる貸付金も3133億円分あることなどから、回収不能額は今後膨らむおそれがあります。

また、「特例貸付」に関する事務や支援を担った全国各地の社会福祉協議会の一部で、確認不十分などによる誤った対応が行われていたことも分かりました。

16の都府県の社会福祉協議会は、制度の対象外だった生活保護受給者に合わせて14億円を貸し付けていました。

このうち14の都府県の社会福祉協議会では、国の通知に反して返済免除の世帯などへの家庭訪問を行わず、就労支援などができていないケースがありました。

厚生労働省によりますと、こうした背景には、当時はスピード重視のため条件が緩和され、借り入れの際の面接や自立支援のための計画書が作成不要となっていたことがあるということです。

会計検査院は、厚生労働省に貸付先への支援を適切に行うよう求めました。

厚生労働省は「指摘を受け止めて、必要な対応をしていく」としています。

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