東京証券取引所の男性社員が、企業のTOB(株式公開買い付け)などに関する未公開情報を親族に漏えいし、インサイダー取引に関与した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の疑いで強制調査していたことが23日、関係者への取材で分かった。
東証は10月現在、約4000社が上場する国内最大の証券取引所。上場企業の審査や重要情報を発信する「適時開示」の確認などを担う東証の社員が、強制調査を受けるのは極めて異例だ。
関係者によると、男性社員は今年、職務を通じて知ったTOBなどに関する情報を公表前に親族に伝達し、不正な株取引に関与した疑いがある。社員の情報を基に、親族は複数回にわたって不正な株取引を行い、少なくとも数十万円の利益を上げていたという。
不正を把握した監視委は、9月に社員の自宅など関係先への強制調査を実施。東京地検特捜部への告発を視野に取引状況などの分析を進めている。
金商法では、TOBなど株価に影響を与える公表前の重要事実を知った上で、情報を伝えたり、株取引を勧めたりする行為を禁じている。
東証などを運営する日本取引所グループは23日、「引き続き、調査に全面的に協力していく。上場会社をはじめ、関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
東京証券取引所=23日午前、東京都中央区
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