甲府市職員の男性(当時42)が2020年に自殺したのは長時間労働などによる過労が原因だとして、両親が市に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、甲府地裁であった。新田和憲裁判長は市の対応と自殺との因果関係を認め、約5800万円の支払いを市に命じた。
提訴したのは市職員だった向山敦治さんの両親。判決によると、向山さんは02年に市に採用され、19年に新設された事務効率課に配属された。係長として非常勤職員の定員管理の取りまとめを担当していた20年1月17日、自殺した。
判決は、向山さんが亡くなる直前2カ月の時間外勤務が月148~209時間に及んでいたと認定。当時の上司が向山さんの正確な勤務時間を把握し、業務内容を変えるなどの対応をすべきだったのに、前日の退庁時刻を口頭で確認するなどの対応にとどまっていたと指摘した。その上で、向山さんが過重な業務で何らかの精神疾患を発症したとし、市の注意義務違反から自殺に至ったと認めた。
父の隆さん(77)は判決後の記者会見で「私どもの心情に十分ご配慮頂いた、本当にありがたい判決だと思います」と話した。
甲府市の樋口雄一市長は「判決文の内容をこれから精査し、今後の対応を検討する」との談話を出した。(棟形祐水)
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