街頭演説では多くの警察官が警戒

19日、東京都内の駅前で行われた候補者の街頭演説では、開始前から多くの警察官が会場周辺の警戒にあたり、演説を聴こうと集まった人たちに金属探知機を使った手荷物検査を行っていました。

おととし7月、安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件や、去年4月、岸田前総理大臣の近くに爆発物が投げ込まれた事件では、警察の警備体制の課題が浮き彫りになり、警察庁は、従来の要人警護などのあり方を大きく見直しました。

演説の立ち位置の後ろに防弾用の板を設置したり、不審なドローンが近づかないように妨害電波を発する機材を必要に応じて使ったりするなど、新たな対策を講じています。

また、ことし7月、アメリカのトランプ前大統領が狙撃された事件などを受け、演説会場の外からの攻撃を想定した対策も強化されていて、19日も会場周辺のビルに警察官が配置され、地上や高い場所に不審な人物がいないかなど、警戒にあたっていました。

警視庁によりますと、19日朝、自民党本部前で火炎瓶のようなものが投げ込まれ、総理大臣官邸に男が車で突入しようとした事件を受けて、各地の演説会場などではさらに警戒が強化されているということです。

演説を聞いていた20代の男性は、「事件が相次ぐ中で警備が厳重になるのはしかたないですが、政治家との心理的な親しみは感じにくくなっていると思います」と話していました。

警察庁が緊急指示“警備のさらなる徹底を”

選挙期間中に起きた今回の事件を受けて、警察庁は全国の警察に対し、警備のさらなる徹底を図るよう緊急の指示を出しました。

重要施設に車両が突入することを防ぐための対策を徹底することや、各都道府県の自民党の施設などに立ち寄る警戒を強化することなどを求めています。

国内ではおととし7月、安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件に続き、去年4月には岸田前総理大臣の近くに爆発物が投げ込まれる事件が発生しています。

選挙期間中の事件が相次いだことを受けて、全国の警察は演説会の主催者などに協力を要請し、手荷物検査や金属探知機を使った検査を行うことなど、対策を進めてきましたが、これらの徹底についても、改めて指示したということです。

特定組織に属さない「ローン・オフェンダー」への警戒強化

世界各国でテロ事件が相次ぎ、国内でも要人を狙った事件が発生していることを受けて、全国の警察は特定の組織に属さない「ローン・オフェンダー」と呼ばれる単独犯が起こすテロや凶悪犯罪への警戒を強化しています。

こうしたテロや犯罪は計画から実行まで前兆をつかみにくいのが特徴とされていて、警察の各部門が捜査や職務質問で得た不審者についての情報を、警備部門に集約して分析したり、インターネット上の銃や爆発物の製造に関する情報や書き込みへの対策を強化したりしています。

今回逮捕された容疑者の思想的な背景などはまだ明らかになっていませんが、警視庁は事件に至った動機や、いつから、どのように準備してきたのかなど、解明を進めるものとみられます。

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