北九州市小倉北区の木造2階建てアパートが全焼し入居者6人が死亡した7年前の火災で、福岡地検小倉支部は17日、現住建造物等放火と住居侵入の疑いで逮捕、送検された元住人で無職の井上浩二容疑者(56)について、二つの罪に加え殺人と殺人未遂の罪でも起訴した。地検小倉支部は井上容疑者の認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、逮捕時から「やっていません」と否認しているという。

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 起訴状などによると、井上容疑者は2017年5月7日午後11時10分ごろ、同区清水2丁目のアパート「中村荘六」(16人居住、14人在宅)の居住者らが死亡するかもしれないと認識しながら、1階の無施錠の出入り口から侵入し、1階便所前でガストーチのようなもので火をつけて約283平方メートルを全焼させ、6人を殺害、5人に重軽傷を負わせたとされる。

 放火については直接的な証拠がなく、県警は間接証拠の積み重ねにより井上容疑者の犯行と断定。9月26日に逮捕していたが、容疑に殺人と殺人未遂は含まれていなかった。

 一方、地検小倉支部は井上容疑者が元住民として建物の構造などを把握していた上、人が眠っているかもしれない夜間に1階玄関付近に火をつけたことなどを踏まえ、間接証拠のみでも、「人が死んでも構わない」という「未必の故意」による殺意が立証できると判断したとみられる。

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