国土交通省は15日の有識者会議で、土砂災害警戒区域の指定が現状の約70万カ所から数年で約100万カ所に増えるとの見通しを示した。高精度の地形情報を用いた調査で危険箇所の抽出が進んでいるため。防災対策の充実が見込まれる。
警戒区域は都道府県が危険箇所を抽出し、現地調査を踏まえ指定する。従来は航空写真や地形図の等高線を基に作業していた。近年は、国土地理院が提供する航空レーザー測量による情報などを基に各地で順次抽出作業が進んでいる。指定には数年かかるとみられる。
国交省によると、2023年に起きた人命に関わる土砂災害約1350件の85%は警戒区域内だった。新たに抽出された危険箇所まで指定を広げたと仮定した場合、区域内発生割合は96%まで高まる。
一方で、豪雨の激甚化の影響もあり指定基準を満たさない箇所で人的被害が発生するケースが出てきた。地形などの分析を続け、傾斜の度合いなどを軸とした指定基準の見直しも適宜検討する。
また会合では「警戒区域外は安全であるとの誤った認識が持たれる傾向がある」という指摘もあり、住民への注意喚起も再考する。〔共同〕
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