日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員、箕牧智之さん(82)は13日、広島市中区の平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑に献花し、ノーベル平和賞の受賞決定を犠牲者に報告した。活動を長年けん引し、「ネバーギブアップ」が口癖だった元代表委員の故・坪井直さんらに対し、「私たちは核兵器廃絶を諦めません」と力強く誓った。

慰霊碑には原爆死没者名簿が納められており、犠牲者は8月6日時点で34万4306人。献花後、取材に応じた箕牧さんは「ここに眠る被爆者が核兵器廃絶を訴えてきたことが、今回の受賞決定につながった」と強調し、「これからもなかなか道のりは険しいが、訴えていかなければいけない」と力を込めた。

2021年に亡くなった坪井さんについては、天国で「『箕牧、頑張れよ』と言われていると思う」と述べた一方、「坪井さんらの活動が一番盛んな時に受賞が決まっていれば、もっと良かった」と悔しさを吐露した。

報告はこの日、長崎でも行われた。日本被団協の代表委員で、長崎原爆被災者協議会の会長を務める田中重光さん(83)は、長崎県時津町にある故・谷口稜曄さんの墓を訪れた。核廃絶運動をリードし、17年に亡くなった谷口さんに対し、「(受賞決定の)喜びを核兵器をなくす運動の力に変え、若い人たちに継承していきたい」と語り掛けた。

亡くなった被爆者らにノーベル平和賞受賞決定を報告し、献花する日本被団協の箕牧智之代表委員=13日午前、広島市中区

谷口稜曄さんの墓参りをした長崎原爆被災者協議会の田中重光会長=13日午前、長崎県時津町

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。