実物の10分の1ほどの大きさで再現された、特攻艇「震洋」の模型を手にする海田悟史さん=9月、鹿児島県瀬戸内町(本人提供)

 旧日本海軍で特攻の訓練を受けた祖父が残した特攻艇「震洋」の模型を、鹿児島県姶良市の公務員海田悟史さん(30)が9月、震洋隊が配備されていた鹿児島県・奄美大島の瀬戸内町に寄贈した。ベニヤ板の船体に爆薬を積み、敵艦に体当たりする目的で開発された震洋。海田さんは「戦争の恐ろしさ、狂気を感じ、知ってほしい」と話す。  海田さんの祖父の故・藤山益夫さんは、太平洋戦争末期に海軍に入隊。終戦時は、岡山県倉敷市の基地で震洋乗組員として訓練を受けていた。  模型は指揮官用の震洋の、10分の1ほどで長さ約70センチ、幅約20センチ、高さ約30センチ。エンジンの代わりのモーター以外は、本物と同じ素材で再現されている。海田さんによると、1990年代ごろに作られたとみられ、藤山さんが戦友会の取りまとめを担っていた際、制作者から託されたという。  海田さんが大学生の時、宮崎県都城市の藤山さん宅を訪れ、戦争についての話をした時、本棚にあった模型を見せてくれた。2021年4月に藤山さんが92歳で死去した後、形見として受け取った。


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