「差別されても、核兵器をなくそうと何度も立ち上がってきた」。ノーベル平和賞授与が決まった日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は国内外で被爆の実相を訴えてきた。世界に核兵器廃絶を訴える非政府組織(NGO)「ピースボート」による航海でも、被爆者は力を振り絞り、「生き証人」として寄港先で証言し、現地の若者らと交流を重ねる。
ノーベル賞委員会は、被団協への授賞理由として、この約80年間戦争で核兵器が使われなかったのは被爆者の証言活動の貢献があると指摘した。ピースボートは2008年から「おりづるプロジェクト」と名付けた被爆者による証言の航海を続けてきた。今年も4~7月、各国を巡る船に被爆者3人が乗船。現地の平和団体や学生、議員らと意見交換をこなした。
長崎で被爆した被団協の田中熙巳代表委員(92)=埼玉県新座市=は初めて本格的にプロジェクトに参加し、南アフリカまで乗船。船内の証言会で被団協の歩みを紹介し、こう話した。「国民に差別され、国にも見捨てられた。それでも核兵器をなくそうと、何度も立ち上がってきた」
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