宮崎空港では今月2日、滑走路につながる誘導路で戦時中にアメリカ軍が投下したとみられる不発弾が突然、爆発し、国土交通省は宮崎空港のほか、仙台・松山・福岡・那覇のあわせて5つの空港で緊急の調査を行う予定です。
5つの空港はいずれも、旧日本軍の施設だった場所にありこれまでに不発弾がみつかっているということです。
一連の調査について、国土交通省は、来週16日の夜から宮崎空港で始めると明らかにしました。
今回の調査は、爆発があった現場の復旧工事にあわせて、現場付近を中心に行うということです。
その後、別の日程で、滑走路や誘導路、今回の現場と同じ誘導路の両端にあるショルダー、滑走路周囲の着陸帯、それに駐機場などで実施する予定です。
調査の方法は、路面のアスファルトが厚い滑走路と誘導路、駐機場は現在、検討中で、それ以外の場所では磁気の異常を把握することで地中の金属類の有無を調べる水平磁気探査という手法を用い深さ2メートルほどまでを調べるということです。
また、宮崎空港以外の4つの空港の調査については、現時点で、具体的な日程は決まっていないということです。
識者「時限式の爆弾の可能性」
国土交通省宮崎空港事務所によりますと、現場では深さおよそ1メートルの穴があいたほか、半径200メートルほどの範囲に舗装のアスファルトなどが飛び散っていたということです。
また、防衛省によりますと、爆発した不発弾の破片を確認したところ、不発弾の先端と底の部分に起爆装置の信管が残っていたほか、周囲には爆薬とみられる粉も散らばっていたということです。
自衛隊が撮影した写真では爆発した不発弾の黒色の破片が路面にある様子や、破片やその周りに爆薬とみられる黄色の粉が付着しているのが確認できます。
防衛省によりますと、爆発した不発弾は戦時中にアメリカ軍が投下した重さおよそ250キロ、長さおよそ1メートル20センチ、直径およそ36センチの「250キロ爆弾」だということです。
また、宮崎空港事務所が公表した現場の写真には、誘導路に穴があいている様子や、剥がれたアスファルトや不発弾の破片が散らばっている様子が写っています。
今回の爆弾について、国や自治体からの依頼で不発弾の探査を行っている日本物理探鑛の田中剛地質調査部長は、撮影された破片の写真から、底の部分にある信管が作動したとみられると指摘しています。
時限式の爆弾は底の部分に信管がついているということで、今回の不発弾も時限式の可能性があるということです。
そのうえで、「こういう信管を使っていると非常に遅れて爆発することが過去にも起きていて、ちょっとした振動でも起動するような状態になっている可能性もあり、非常に危険だ」と話しています。
また、太平洋戦争に関するアメリカ軍の報告書には、時限式の信管がついた爆弾が関東や九州で使用されたという記録があるということで、「当時は、特攻隊がアメリカ軍の艦船を攻撃していたので、特攻隊の航空基地の滑走路を使わせないようにする目的で主に九州南部の飛行場をねらって時限式の爆弾が使われた。そうした爆弾が今になって爆発する確率は低いかもしれないがゼロではない」と話しました。
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