独立行政法人「福祉医療機構(WAM)」の新型コロナウイルス対策融資を巡る貸金業法違反事件で、東京地検は9日、無登録で仲介したとして同法違反罪で、みずほ銀行元理事三浦由博容疑者(67)=東京都品川区、会社役員の北村隆史容疑者(62)=大阪市西区=ら3人を起訴した。  三浦被告は2011年4月にみずほ銀行の常務執行役員を退任。2019年9月までの2年間、WAMの理事を務めていた。事件当時は同銀行の理事だった。

◆実際は債権回収担当で詳しくなかった

 「みずほ銀行元常務」「WAMの元理事」  三浦被告はこうした経歴を悪用し、経営難に陥った医療法人に融資の仲介を持ちかけ、不正に報酬を得続けていた。  三浦被告はWAMの理事時代の名刺を法人経営者に見せて「口利きができる」「審査の優先順位を上げられる」と融資を受けるように持ちかけていた。だが、捜査関係者によると、同被告はみずほ銀行では債権回収の担当で、WAMでも回収担当。融資の口利きをうたっていたが、実際には詳しくなかったとみられる。  三浦被告は、WAMのかつての部下に電話をかけて公開されていない融資条件などを聞き出していた。それをもとに北村被告の医療コンサルティング会社「ヘルスケア基盤整備機構」が貸し付けの書類申請を代理で作成し、融資を受けさせていた。

◆「コロナ禍で苦しむ法人につけこんだ悪質な詐欺」

 捜査関係者によると、三浦被告らは無登録で貸金業を営み、約40の医療法人などにWAMの「新型コロナウイルス対応支援金」の貸し付けを受けるよう勧誘。計64億5000万円の融資に関与し約5億円の手数料を不正に得たとみられる。  捜査幹部は「もともと口利きなどなくてもWAMの融資は受けられた。コロナ禍で苦しむ法人につけこんだ悪質な詐欺」と語った。(昆野夏子) 

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