従業員の職業訓練やリスキリング(学び直し)に必要な費用の一部を国が助成する「人材開発支援助成金」で、2023年度までの4年間に1億円余りの不適切な支出があったことが9日、会計検査院の調べで分かった。経費を全額負担した事業主へ一部補助する制度なのに、事業主が自己負担分を訓練実施業者から返金してもらい、実質無料となっているケースが判明した。  検査院によると、職業訓練とは別に、訓練の感想文を提出するといった簡単な「役務」を業者が依頼し、事業主や受講者がこれらをこなすと「広告代」名目などで返金する契約だった。業者側が「実質無料になる」と宣伝し、利用実績を増やしていたとみられる。こうした場合の助成金の取り扱いは定められておらず、検査院は厚生労働省にルールの見直しなどの対応を要請した。  調査で判明した不適切な助成は32事業主への計約1億730万円で、特定の4業者が訓練を受託していた。この4業者が実施した訓練には、40労働局が21~23年度に計約9億6400万円の助成金を支給していた。


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