石川県は7日、能登半島地震で被災した家屋などの公費解体が9月末時点で、解体見込み棟数の15.7%に当たる5096棟で完了したと発表した。解体率は全体で前月末から5.2ポイント増えたが、9月下旬の豪雨災害の影響で同月の解体棟数は当初計画を下回った。被害が甚大な輪島、珠洲(すず)両市では今も一部地域で中断を余儀なくされており、来年10月の完了に向けて柔軟な対応が求められそうだ。(田嶋豊)

◆豪雨で作業中断、道路状況も悪化

 県によると、解体見込み数3万2410棟に対し、申請数は3万40棟(前月比1840棟増)で、うち1万4512棟(同4363棟増)で着手済み。市町別の解体率では穴水町が25.3%(前月比6.9ポイント増)で最多。珠洲市が23.4%(同6.7ポイント増)、6市町以外が19.8%(同5.8ポイント増)、能登町が17.1%(同7.7ポイント増)で続く。最少は輪島市の9.0%で、前月に比べ3.3ポイント増にとどまる。  9月末までに5432棟解体する計画だったが、達成率は94%。9月の解体数は前月より約500棟増えたが、豪雨で一時的に作業を中断したほか、道路状況の悪化で解体速度が低下するなどし、計画の2036棟には336棟届かなかった。県の担当者は「状況も見極めながら増班なども検討していく」と話した。

◆七尾市などでは「自費解体」も

 奥能登2市2町以外では、解体にかかった費用を市町の算定基準で償還する「自費解体」も進む。七尾市では前月から37棟増の168棟、志賀町では33棟増の214棟、その他では41棟増の214棟となった。

公費解体が続く輪島市の朝市通り周辺=7日、石川県輪島市河井町で(桜井泰撮影)

 県は8月下旬に公表した被災家屋解体の加速化プランに基づき、月ごとに定めた解体計画の進捗(しんちょく)状況を毎月上旬に公表する。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。