輪島朝市周辺で、ペットの猫の骨つぼを捜す「TEAM JAPAN」のメンバー(6月、石川県輪島市)=同団体提供・共同

能登半島地震と記録的豪雨に見舞われた石川県の被災地で、土砂に埋もれたり水に漬かったりした家族写真や食器など、思い出が詰まった品を掘り起こす「救出活動」に取り組む団体がある。「町の復興と同時に心の復興を手伝いたい」との思いから、家屋の泥を掃除する傍ら、大切な品を洗ってきれいにし、持ち主に返却している。

能登半島では、地震で住宅8万棟超が全壊や半壊などの被害を受けた。9月の豪雨でも住宅の浸水や土砂流入が相次ぎ、自治体が被害の実態を調べている。

元日の地震直後からボランティアを続ける民間団体「TEAM JAPAN」は、被災した住宅で、がれきや土砂の中から写真や食器、衣服などを捜し出し、洗浄・乾燥した上で返している。

地震に伴う火災で大半が焼失した輪島市の輪島朝市周辺では、ペットの猫の骨つぼを発見した。現地リーダーの佐々木一人さん(32)は「持ち主が泣いて喜んでくれたことが忘れられない」。

豪雨災害でも、水にぬれたり土砂に埋もれたりした思い出の品は多いとみられる。「埋もれた写真も本人にはかけがえのない物で、大きな心の支えになる」「前に進むためには、心が元気にならないといけない」と団体メンバー。今後も活動を続けていく考えだ。

こうした思い出の品の救出は、2011年の東日本大震災や18年の西日本豪雨など、他の被災地でも行われてきた。「三陸アーカイブ減災センター」(岩手県陸前高田市)の秋山真理代表理事は「思い出の品が返却されることで、被災前の生活の記憶がよみがえり、喪失感を埋める効果も期待できる」と話している。〔共同〕

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。