目次

  • ふるさと納税で寄付 羽田空港に専用の機械

  • 被災した自治体の負担を軽減 「代理寄付」

ふるさと納税で寄付 羽田空港に専用の機械

ふるさと納税は、生まれ育った地域をはじめ応援したい自治体を選んで寄付する制度で、返礼を受け取らずに全額を寄付することもできます。

こうした仕組みを活用して、災害で被害を受けた地域を支援する取り組みも行われ、今回の大雨でも寄付を受け付けているところもあります。

寄付の多くはWEBサイトを通じて行われますが、羽田空港のターミナルビルでは専用の機械が設置されています。

利用者はタッチパネルを操作して、支援したい自治体や寄付したい額を2000円から50万円の間で選んだあと、自分の名前や住所などを入力してクレジットカードで決済します。

能登半島地震をきっかけにことし2月に設置され、その月の320件をピークに減少傾向が続いていましたが、能登地方の記録的な大雨を受けて、9月は155件と前の月の1.2倍に増えたということです。

4日は、佐賀県から来た60代の夫婦が2000円を珠洲市に寄付していました。

寄付した夫婦は「手軽に寄付ができて便利だと思いました。能登地方が地震の復興の途中で大雨で被災して残念です。少しでも役に立てたらうれしいです」と話していました。

また、徳島県に向かうという女性は、輪島市に2000円を寄付し「たまたま機械を見かけて寄付できたので、よかったです。早く復興できるように祈るばかりです」と話していました。

ふるさと納税ができる機械を開発したIT企業の鍵和田芳光社長は「被災地は大変な状況なので、ぜひ皆さんに少しでも寄付していただき、復旧に向かってほしいです」と話していました。

被災した自治体の負担を軽減 「代理寄付」

ふるさと納税によってお金が集まる一方、被災した自治体は事務作業が増えます。

こうした負担をなくそうと、全国の自治体が手続きを引き受ける「代理寄付」という取り組みも行われています。

このうち、ふるさと納税の仲介サイト「ふるさとチョイス」は9月下旬から「代理寄付」を始め、全国29の自治体が参加しています。

水戸市もその1つで、5年前の台風19号で浸水被害を受けた際、近畿や四国など複数の自治体に支援してもらったことから、今回初めて輪島市と能登町の「代理寄付」に手を挙げました。

水戸市によりますと、10月4日正午の時点で2つの市と町に合わせて150万円余りが寄せられ、およそ2割が市民からの申し込みだったということです。

水戸市市民税課の田部田英智副参事は「豪華な返礼品といった経済的な利点が着目されるが、思いを伝える形で寄付もできるので、そうしたことにも関心を持ってもらえたら、ふるさと納税の可能性は広がると思います」と話していました。

また、熊本県西原村は熊本地震の時のお礼に、当時協力してくれた輪島市の「代理寄付」を行っています。

企画商工課の佐々木康彦主幹は「当時は非常にありがたいと思いました。住まいの再建や地域特有の課題などにもぜひ活用していただければと思います」と話していました。

フリーマーケットの収益を寄付

フリーマーケットの収益を寄付する支援も行われています。

フリマアプリ大手の「メルカリ」は、災害が起きた際にユーザーに寄付を呼びかける取り組みを3年前から行っています。

今回の記録的な大雨を受けて9月24日に石川県を支援先に追加し、ユーザーに通知しました。

ユーザーは、出品する際に売り上げの5%から100%の間で寄付する割合を選ぶことができます。

また、これまでに売ってためた中から金額を決めて寄付することもできます。

集まった寄付金は定期的に石川県に送られるということで「自宅にいながらスマートフォンで簡単にできる支援なので、より多くの方々の支援を被災地に届けたい」としています。

「北陸応援おせち料理」で支援も

食べて被災地を支援する動きも出ています。

都内に店舗がある大手デパートは、ことし1月の能登半島地震で被災した地域の復興を支援するため「北陸応援おせち料理」と銘打った商品を企画しました。

石川県の食材を使った料理には、能登かきを使ったマリネや能登ふぐの西京焼きなどを取りそろえています。

一段と三段の2種類から選ぶことができ、インターネットか通信販売で注文を受け付けています。

このうち三段の商品は、予約を開始した8月下旬から1か月余りでおよそ200個の注文が入っているということです。

売り上げの一部は石川県と富山県、新潟県に寄付されますが、今回の大雨で被災した地域の支援にも役立ててほしいとしています。

デパートは「災害の支援は一時的ではなく、継続することが必要だと考えている。今回の企画に限らず、さまざまな形で支援していきたい」と話していました。

専門家「少額でも被災者を忘れないというメッセージに」

寄付に詳しい日本ファンドレイジング協会の宮下真美事務局次長は、被災地では刻一刻とニーズが変わるため、お金を寄付することで、より迅速で柔軟な対応が可能になると指摘しています。

このため、現地に足を運んで支援することが難しくても、お金を寄付することは被災地の大きな力になるということです。

そのうえで「たとえ少額でも、被災者の方たちを忘れないというメッセージを届けることができると思う。また、関心を持ち続けるためにも、寄付がどのように使われたのか調べることも重要だ」と話しています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。