大正末期から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人、金子みすゞの詩が世界に広がっている。これまでに英語や中国語など15カ国語に翻訳。詩集や絵本として出版され、各国の幅広い世代に親しまれている。
出身地の山口県長門市にある金子みすゞ記念館によると、みすゞは20歳ごろから童謡を書き、雑誌に投稿を始めた。詩人西條八十から「若き童謡詩人の中の巨星」と激賞され、「大漁」や「こだまでしょうか」など512編の詩を残した。
外国語訳は1999年の英語を皮切りに、ヒンディー語、ペルシャ語などに広がり、2023年にはジョージア語訳が出版された。詩が翻訳されたことをきっかけに日米両国では小学生の交流に発展。ネパールではみすゞの名前が付けられた小学校に、翻訳された詩が掲げられているという。
このうち中国語訳は現地の国語の教科書に採用され、2017年には中国全土で使われる教材に詩「次からつぎへ」が掲載された。
中国語に訳したのは翻訳者の呉菲さん。中国・大連の大学で日本語を学び、山口大大学院に留学。優しくも深く心に残るみすゞの世界に魅了されたといい、2023年に全512編を訳した詩集を完成させた。呉さんは「詩の世界を崩さず、朗読しやすいように表現した」と話す。
金子みすゞ記念館の宇野智香学芸員は「心に響く素直な表現が多くの国に広がり大変うれしい。国籍や人種に関係なく愛されてほしい」と期待している。
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