3Dプリンターで製造した住宅(2日午前、石川県珠洲市)=共同

能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市で、3Dプリンターで造った住宅第1号が完成し、2日、報道陣に公開された。耐震性が高い鉄筋コンクリート造りで、料金も低価格に抑えられているのが特徴。能登地方は9月に豪雨にも見舞われ、多くの住宅が被害を受けた。製造を手がけた企業は、被災者の生活再建の一助としたい考えだ。

住宅は、兵庫県西宮市のスタートアップ、セレンディクスが製造・販売している。2人世帯向け1LDK(トイレ、風呂付き)50平方メートルで550万円(税別)。着工から平均約2週間で組み立てまで完了する。

ロボットがコンクリートを何層にも塗り重ねて、壁や屋根を成形する。7月に着工し、群馬、愛知、熊本3県の工場で製造したパーツを現場で組み立てた後、通常の住宅と同じ内装を施し、9月末に完成した。

3Dプリンターで製造された住宅の内部(2日午前、石川県珠洲市)=共同

同社の飯田国大最高執行責任者(COO)は「多くの被災者が住宅を求めているが、購入資金が高騰していて足りないという声を聞く。この住宅が希望になればうれしい」と話した。

第1号は今月中旬以降、1棟貸しの宿泊施設として、復旧工事業者の利用を想定。毎週金曜日と土曜日は地元住民に無償で宿泊してもらい、日曜日は「モデルルーム」として一般公開する。

建設を企画した蔵雅博さん(64)=珠洲市=は「木造住宅は多くが地震で倒壊した。再建に向けた選択肢として多くの市民に知ってほしい」と期待を込めた。〔共同〕

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