埼玉県所沢市で1日未明にあった強盗致傷事件で、逮捕された男3人のうち1人が、「指示役から『逃げたら殺す』と言われ、強盗をせざるを得なかった」という趣旨の供述をしていることが、埼玉県警への取材でわかった。男らは「闇バイト」に応募していたといい、県警は、個人情報を送るなどした結果、事件に加担せざるをえない状況に追い込まれた可能性もあるとみている。
強盗致傷容疑などで1日に逮捕されたのは、前橋市城東町3丁目の自称飲食店店長海藤貴志(43)、神奈川県小田原市飯泉の自称アルバイト佐藤聖峻(きよたか)(24)、住所職業不詳の自称和佐裕夢(ひろむ)(28)の3容疑者。
捜査1課によると、3人は他の人物と共謀し、1日午前2時すぎ、所沢市北野新町2丁目の住宅に侵入し、住人の男性(85)と妻(83)を粘着テープのようなもので縛り、刃物で切りつけ、現金約8万円を奪った疑いがある。県警は2日、強盗致傷と住居侵入の容疑で3人をさいたま地検に送検した。住宅には4人が侵入したとみられ、県警は1人の行方を捜査している。
県警によると、逮捕された3人のうち1人は、秘匿性の高いアプリを使った音声通話で、指示役とみられる男とやりとりをしていた。現場から逃走する時には、指示役から「逃げてんじゃねーよ」と伝えられたとも供述しているという。
東京、埼玉両都県では同様の事件が3件相次いでおり、警察はSNSなどを通じて緩やかに結びつく「匿名・流動型犯罪グループ」(匿流)による事件とみて、関連を調べている。
県警は、所沢の現場周辺で事件に使われたとみられる3台の車を押収したが、このうち2台は、東京都国分寺市で9月30日未明にあった事件現場周辺を走っていたとみられる車両だったという。また、容疑者の1人は、国分寺市の事件についての関与をほのめかす供述をしているという。(浅田朋範)
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