東京電力は24日、柏崎刈羽原発(新潟県)の使用済み核燃料を国内で初めて、敷地外に建設した中間貯蔵施設に向けて搬出を開始した。核燃料69体を載せた船が原発敷地内の港から、青森県むつ市にある施設に向けて出発した。26日にも到着する予定になっている。

◆地元自治体からは施設内の保管割合を下げるよう求められている

東京電力の柏崎刈羽原発(資料写真)

 東京電力が使用済み核燃料の搬出を急ぐのは、再稼働の地ならしの意味合いが濃い。再稼働の準備が進む7号機の使用済み核燃料を保管するプールの保管割合は95%を超え、6号機も90%超で逼迫(ひっぱく)している。  プールが満杯になれば稼働できなくなる上、立地する柏崎市の桜井雅浩市長は再稼働を認める条件の一つとして「おおむね80%以下」の保管割合を求めている。対応策として東京電力は、中間貯蔵施設への搬出と、6、7号機から容量に比較的余裕がある4号機などへの移送を挙げる。

◆岸田首相も「援護射撃」しているが…

 再稼働には、新潟県の同意も必要。同意を取り付けるため、岸田文雄首相は事故時の避難道路の整備などへの国の負担を拡充する方針を示し、援護射撃する。  だが、再稼働の必要性は薄まっている。電力需要面では、東日本は原発なしでこの夏を乗り切った。再稼働で電気料金は短期的に下がるかもしれないが、コスト高の原発への依存を強めれば、将来的には負担が増す可能性さえある。  搬出された使用済み核燃料は、再利用を待つために保管される。だが、核燃料サイクルの要となる再処理工場の完成は見通せない。完成が延びるほど、電気料金での国民の負担が続く。今回の搬出は、原発が抱える矛盾の先送りにすぎない。(荒井六貴) 

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