大雨で河原田川が氾濫し冠水した石川県輪島市の市街地(21日)=共同

能登地方に甚大な被害をもたらした大雨は日本海に暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定になったことで発生した。東に進路を変えた台風14号によって大量の水蒸気が送り込まれ、積乱雲が次々に発達した可能性がある。

気象庁によると、21日は秋雨前線が日本海から東日本付近に停滞。大陸側から吹く北寄りの風と、太平洋側から吹く南寄りの風がぶつかり、北陸地方で積乱雲が発達しやすい状況になっていた。積乱雲が連なる「線状降水帯」が発生し、能登地方を猛烈な雨が襲った。

九州大の川村隆一教授(気象学)によると、例年の同じ時期と比べて日本の南海上にある高気圧が西に張り出した影響で、西側の縁に沿って流れ込む暖かく湿った空気が日本海上に集中しやすい状態になっていた。

台風の影響もある。東シナ海から大陸に向かった台風14号は日本列島へ進路を変え、21日に温帯低気圧に変わった。川村教授は「台風も南の海上から大量の水蒸気を送り込んだと考えられる」とみる。

温帯低気圧は22日に前線を伴って三陸沖に進む見込み。太平洋側を含めた広い範囲で雷を伴った大雨の恐れがある。

22日正午までの24時間雨量はいずれも多いところで北陸と四国が200ミリ、東海と中国が180ミリ、東北と近畿などが150ミリ、関東甲信が120ミリと予想される。

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