岸田首相が発表した救済策を受け、記者会見する「被爆体験者」訴訟原告団長の岩永千代子さん(右から2人目)ら(21日、長崎市)=共同

岸田文雄首相が被爆者と認定されていない長崎の「被爆体験者」に、被爆者と同等の医療費助成を行うと表明したことを受け、体験者からは21日、「皆に支援が行き渡る」と評価する声が上がる一方、「被爆者と認めてほしかった」と不満も漏れた。

原爆投下時4歳で、複数の病気のため通院を続ける松尾栄千子さん(83)は「年を取るほど医療費がかさむ。同等の助成はありがたい」と安堵。被爆体験者訴訟原告の松尾さんらに限らず、全ての体験者が対象となることに「支援が行き渡るのも良かった」と捉えた。

一方、原告団は午後、長崎市内で記者会見し、不満をあらわにした。団長の岩永千代子さん(88)は「被爆体験者としたのは国」と指摘し「(支援事業自体が)間違っていたことを反省すべきだ。(助成の)拡充はいりません」と語気を強めた。

判決で「黒い雨」が降った地域にいたとして被爆者健康手帳の交付が認められた松田宗伍さん(91)も取材に「医療費を同じにするなら、なんで手帳はくれんとですか」と怒りをあらわにし「広島は同じ条件で被爆者にしたのに、長崎はしないのは差別だ」と批判した。

〔共同〕

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