石川県・能登半島北部では21日午前、日本海から延びる前線の影響で猛烈な雨が降り、発達した雨雲が連なる線状降水帯が発生した。気象庁は午前10時50分、同県輪島市と珠洲市、能登町に大雨特別警報を出し、直ちに安全を確保するよう呼び掛けた。
県によると、大雨の影響で珠洲市で1人の死亡が確認されたほか、同市と輪島市、能登町で計3人が行方不明。国土交通省によると、輪島市で国道の復旧工事をしていた作業員4人が安否不明となっている。
県内を流れる16の河川で氾濫が確認され、県は陸上自衛隊に3市町への災害派遣を要請した。能登半島地震を受けて建設された仮設住宅にも被害が出ており、輪島、珠洲両市の計8団地が床上浸水となった。地震被災地の医療機関や高齢者施設でも停電や浸水が発生したほか、停電に伴うポンプ施設停止などの影響で、3市町の一部では断水も起きた。
輪島市や能登町では1時間雨量が100ミリ超との記録的短時間大雨情報が相次いで出された。輪島市では午後2時40分までの12時間雨量が324.5ミリ、珠洲市では午後1時10分までの同雨量が231.0ミリに上り、いずれも観測史上最多記録を更新した。
気象庁の杉本悟史予報課長は正午に記者会見し、22日には台風14号から変わった温帯低気圧が西から接近する見通しだと説明。「能登半島地震の被災地であり、まだブルーシートがかかっている家屋もある。雨だけでなく、風も強まる恐れがあり、(土砂災害や河川の氾濫に)最大級の警戒をお願いしたい」と述べた。
大雨の影響で川が増水し、崩れた斜面=21日午後、石川県珠洲市
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