記者会見する木原防衛相(26日午前、防衛省)=共同

木原稔防衛相は26日の閣議後記者会見で、陸上自衛隊と海上自衛隊で特定秘密のずさんな取り扱いがあったとして、各自衛隊が佐官級の幹部ら計5人を停職や減給の懲戒処分にしたと発表した。防衛省は特定秘の内容を明らかにしていないが、いずれも外部への漏洩は確認されなかったとしている。

同省は再発防止検討委員会を設置し、対策を進める方針。特定秘を巡り自衛官の処分が明らかになるのは、2022年12月に海自1佐が懲戒免職となったOBへの漏洩に続き2度目。秘密が適正に管理されていない実態が改めて浮き彫りになった。

木原氏は会見で「極めて深刻に受け止めている。再発防止に全力を尽くす」と述べた。

防衛省によると、陸自北部方面隊(札幌市)で部隊の指揮官を務めていた50代の2等陸佐は23年7月、上富良野演習場で訓練前の指示として、20人の隊員に有事の際の活動に関する秘密を伝えた。うち15人は知るべき立場ではなかった。

2佐は「隊員の意識を高揚させようと深く考えずに発言した」と説明。陸自は2佐を停職6日とした。警務隊に特定秘密保護法違反容疑で刑事告発する。

海自の護衛艦「いなづま」では22年6月、保護法に基づき、秘密を扱う公務員らの身辺を調査する「適性評価」を経ていない隊員1人を特定秘の取扱者に指名。約2カ月間、船内のスクリーンに表示された船舶の航跡情報を海図に転記する任務に当たらせた。

海自は30〜40代の1等海佐と3佐、2尉を停職6日、40代の2佐を減給6分の1(2カ月)とした。

いなづまは23年1月、山口県沖で浅瀬に乗り上げる事故を起こし、当時の艦長が停職1カ月の懲戒処分を受けた。〔共同〕

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