東京メトロは18日、列車の車輪に車軸を通す作業で安全性に関わるデータを改ざんする不正があったと発表した。車軸を車輪にはめ込んで「輪軸」を組み立てる作業を巡っては今月10日、JR貨物で基準値を超える圧力がかけられていた上、基準値内に収めるよう数値が書き換えられていたことが判明。国土交通省が全国の鉄道事業者に緊急点検を指示する中、首都圏の旅客大手でもコンプライアンスに対する認識の甘さが明らかになった。

◆微細な傷が破損につながる恐れ…不正は少なくとも2011年以降続く

 東京メトロによると、点検の結果、225本の輪軸に、社内で定める基準値を超えた圧力がかけられていた。組み立てを東京メトロに委託している東葉高速鉄道でも2本、埼玉高速鉄道では6本が基準値を超過。これら計233本については、実際の作業を担当した東京メトロのグループ会社「メトロ車両」で数値の改ざんが行われたという。  組み立ての際、圧力が基準値を下回れば車軸が車輪から外れる可能性が高くなるが、圧力が大きすぎても輪軸に微細な傷がつき、列車の運行により破損して大事故につながる恐れがある。233本のうち2本は基準値を10%以上超過。うち1本は34%上回っていたとされる。これら2本は車輪をはめ替える予定だが、残り231本は超音波探傷検査により安全性を確認し、使用を再開したとしている。  東京メトロの荻野智久・車両部長は「(少なくとも)2011年以降、書き換えが行われていたとみられる。指導員から口頭で作業内容が伝承され、作業員は書き換えに違和感や疑問を持たずに対応したようだ」と話した。 (嶋田昭浩) 

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