18日に国会内で開かれた超党派議員連盟の総会

旧優生保護法下での強制不妊手術を巡り、超党派の議員連盟のプロジェクトチーム(PT)は18日、被害者への補償制度法案をとりまとめた。国に裁判を起こしていない人も含めて被害者に1500万円、配偶者に500万円を一律支給するのが柱。秋の臨時国会に法案を提出し成立をめざす。

補償の請求期限は法律の施行日から5年を想定する。被害者本人や配偶者が死亡している場合は遺族が請求できるとした。旧優生保護法下で中絶手術を受けた人にも200万円を支給する。いずれも裁判を起こす必要はなく、申請に基づき行政側が認定する。

法案は国会と政府が最高裁判決を踏まえ、旧優生保護法に基づく手術を政策的に進めてきたことについて「責任を認め、心から深く謝罪する」と明記した。国が補償について周知を図り、不妊手術に関して調査し再発防止策を検証することも盛り込んだ。

旧優生保護法は議員立法で1948年に制定された。96年の母体保護法への改正で手術に関する規定がなくなった。この間に約2万5千人が手術を受け、うち約1万6千人は本人の同意がなかった。

最高裁は7月、手術規定を違憲と判断して国の賠償責任を認めた。「国民に憲法上保障された権利を違法に侵害することが明白」として立法行為自体の違法性を認める初の司法判断も示した。

最高裁判決を受け、超党派の議員連盟がプロジェクトチームを立ち上げて具体的な補償のあり方を検討してきた。

裁判中の原告側と国との間では13日に被害者本人のみの場合は1500万円、配偶者がいる場合は本人に1300万円、配偶者に200万円の計1500万円の慰謝料を支払うことを柱とする和解案で合意している。慰謝料が法案の補償額を下回る場合は国が差額を補塡する。すでに国との裁判が終結している被害者も同様だ。

19年に同じく議員立法で成立した一時金支給法の支給額は320万円で、申請できるのは本人のみだった。国の法的責任も明記していなかった。

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