文化庁は17日、2023年度の国語に関する世論調査の結果を発表した。動物などがふんわりと柔らかそうなことを意味する「もふもふ」や、ゆっくりのんびりするという意味の「まったり」といった新しい表現の使用を「気にならない」とした人が8割に上った。インターネットの利用拡大も受け、新しい表現が浸透していることが分かった。

文化庁は1995年度から同調査を実施。2023年度は全国の16歳以上の6000人を対象に質問紙を郵送し、約3500人から回答を得た。

今回は新しい表現として、最近辞書に記載され始めた7つの擬態語の浸透について調べた。

ほかの人が使うことが「気にならない」と回答したのは「まったり」が86%、「もふもふ」は82%だった。時間や手間をかけないことを意味する「さくっ」は82%だった。

年代別に見ると、若い年代ほど許容する人が多く、「もふもふ」は10〜30代で9割超、40~60代は8割超、70歳以上は7割弱だった。

新しい表現を「使うことがある」と答えた割合は、「さくっ」「もふもふ」「まったり」が全体の半数を超えた。

文化庁担当者はインターネットやSNSの利用拡大によって、世代を問わず新しい言葉が浸透しやすくなっていると分析。擬態語は「ネットで画像などと一緒に発信されることが多く、より広がりやすいのではないか」と話す。

同庁によると「もふもふ」は00年代ごろに使われ始め、令和に入ってから多くの辞書に採用された。「ぬいぐるみをもふる」など、ふわふわしたものに触るという動詞「もふる」を記載する辞書もあるという。

「まったり」は11年度の調査でも尋ねた。本来は味わいのまろやかさを表す言葉だったが、00年代ごろからゆったりという意味で使われるようになった。11年度は「使うことがある」と回答した割合は29%だったが、23年度は53%に増えた。

調査では言葉の意味の理解についても調べた。「悪運が強い」を本来の意味とされる「悪い行いをしたのに、報いを受けずにいる様子」と答えたのは24%だった。「悪い状況になっても、うまく助かる様子」と本来とは異なる意味だと思っている人が67%に上った。

「失笑する」は「笑いも出ないくらいあきれる」との回答が67%を占め、本来の意味の「こらえ切れず吹き出して笑う」(26%)を理解している人は少なかった。

同庁担当者は「言葉は時代とともに変化するもので、人によって捉え方が異なることがあることを踏まえ、円滑なコミュニケーションを図ることが大事」としている。

「1カ月読書せず」6割超 過去最多、SNS影響か

2023年度の国語に関する世論調査では、1カ月に読む本の冊数を聞いたところ、「(1冊も)読まない」と答えた人が63%に上り、08年度の調査開始以来で最多となった。

読書の冊数を尋ねる調査は5年に1度実施。1冊も読まないとしたのは08年度は46%、13年度は48%、18年度は47%だった。

全体の7割が「読書量が減っている」と答えた。理由として「情報機器で時間が取られる」が最多で44%を占め、18年度(37%)より7ポイント増えた。一方、SNSやインターネット記事など本以外の情報を「毎日読む」としたのは75%だった。

文化庁担当者は「SNSの浸透で本を読まなくなっている可能性があるが、文章に触れる機会は本だけに限らず、インターネットにも広がっている。単純に活字離れとは言えないだろう」としている。

(森紗良)

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