抗菌薬(抗生物質)の効かない薬剤耐性菌による2050年までの死者は、世界で3900万人を超えるとの推計を、米ワシントン大などの国際チームが17日、英医学誌ランセットに発表した。急速な高齢化が原因で、チームは「(免疫力の弱い)高齢者への脅威は今後増大する一方だ」と警鐘を鳴らす。感染対策や抗生物質の適切な使用が進めば、多くの死亡を防げる可能性があると指摘している。
薬剤耐性菌を巡る過去の傾向を踏まえた世界的影響の詳細な予測は初めてという。薬剤耐性菌は、ひそかに広がる「サイレントパンデミック」と呼ばれ、高齢化が進む日本でも喫緊の課題の一つ。政府は昨年、新たな「行動計画」を策定し、抗生物質使用量を27年までに20年比で15%減らすとの目標を掲げている。
チームは204の国と地域を対象に抗生物質の使用量や死亡記録、診療データなどから、薬剤耐性菌による死者を推計。1990~2021年の死者は毎年100万人を超えていた。70歳以上は80%超増加。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による死亡が最も増えた。
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