農林水産省によると、暑さに強いコメ「高温耐性品種」は、2023年に39府県で46品種が作付けされた。作付面積は18万2869ヘクタールと、10年前に比べて約2.8倍となり、主要食米に占める割合は14.7%で、いずれも過去最高を記録した。
イネは亜熱帯が原産だが、日本のコメ栽培の歴史は冷害と闘いで、寒さに強い品種の開発、育成が長年にわたって続けられてきた。日照不足で冷夏だった1993年は、東北、関東を中心に冷害が相次ぎ、タイや米国などからコメを緊急輸入するなど「平成の米騒動」と騒がれた。
2023年産の主な高温耐性品種と作付け地
品種名 | 面積 | 主な産地 |
---|---|---|
きぬむすめ | 22549ha | 鳥取、島根、岡山 |
こしいぶき | 18300ha | 新潟 |
つや姫 | 17823ha | 宮城、山形、島根 |
ふさこがね | 11612ha | 千葉 |
とちぎの星 | 8500ha | 栃木 |
あきさかり | 8361ha | 福井、広島、徳島 |
にこまる | 7913ha | 静岡、岡山、長崎 |
彩のきずな | 6900ha | 埼玉 |
元気つくし | 6310ha | 福岡 |
さがびより | 6220ha | 佐賀 |
出所:農林水産省
一方、最近のコメ不足は、2023年の猛暑によってコメの品質が下がり、流通量が減ったことが原因だ。農水省の担当者は、「今後も地球温暖化に伴って高温傾向が続くと見込まれる。高温耐性品種の育成、作付けの拡大が必要だ」と話している。
高温に強い品種「にこまる」(右側)の調査が行われていた時の様子=2010年8月、福岡県筑後市の九州沖縄農業研究センターの農場(時事)
近年は各産地が独自の品種を開発、ブランド米づくりに取り組んでいる。ただ、新しい品種の開発は長期間にわたるため、農水省の担当者は「すみやかに猛暑に対応するため、他産地のコメの作付けが増えるのではないか」とみている。
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