中国大陸から運ばれる黄砂は3千~2千年前、偏西風の軌道が変化した影響で日本への飛来が現在に比べてほぼ半減していたと、東京大や山梨県富士山科学研究所などのチームが11日、国際科学誌に発表した。富士五湖の一つ、本栖湖(山梨県)の湖底で採取した堆積物から黄砂由来の鉱物、石英の量を分析した。 チームによると、富士山の溶岩は石英を含まない玄武岩質で、本栖湖周辺の地質も過去の噴火でもたらされた玄武岩で主に構成されている。チームは湖底の堆積物から計109の試料を採取。石英の量から黄砂の量を推計したほか、エックス線などを使って8千年間の量の変化を分析した。 黄砂は8千年前から現在にかけて少しずつ増加。3千~2千年前に一時減少しており、現在に比べ40~50%程度だった。 チームは北極圏の気圧が高く、日本など中緯度域に寒気が流れ込む「負の北極振動」が起こり、偏西風が蛇行して本栖湖に黄砂が運ばれにくくなったと推定した。
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