原爆に遭ったが被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」訴訟で、長崎県の大石賢吾知事と長崎市の鈴木史朗市長らが11日、厚生労働省を訪れ、原告のうち15人を被爆者と認定した長崎地裁判決について、行政側の控訴断念を原告らが要望していることを伝えた。また、残る原告29人を含む被爆体験者全員を、政治判断で救済するよう求めていることも説明した。
- そもそも解説 被爆体験者とは?
県・市は法定受託事務として被爆者健康手帳を交付しており、訴訟では被告となる一方、地元として国に被爆体験者の救済も求めてきた。11日、大石知事らは厚労省内で大臣官房総括審議官らと面会し、原告の要望のほか、長崎市議会が「一刻も早い救済を求める」と決議したことなどを説明し、理解を求めた。
面会後、取材に応じた大石知事は「控訴断念という地元の思いをしっかり伝えさせていただいた」と話した。
岸田文雄首相が8月9日、被爆体験者と面会し、「合理的解決」を武見敬三厚労相に指示したことについて、鈴木市長は「国の検討を、県市で共有し、作業を早急に進めていかなくては」と話した。武見厚労相は外遊中のため面会できなかった。
9日の長崎地裁の判決は、原告44人のうち、国が定めた「被爆体験者」区域のうち東側の旧3村の一部について、住民らの証言や調査結果などから「黒い雨」が降ったと認め、この地域にいた15人を被爆者と認定。一方、地域外の29人の訴えは退けた。これを受け、原告らが10日、市や県に対して被爆体験者全員の救済を要望していた。
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