厚労省を訪問し、早期解決を要望する長崎県の大石知事(左から3人目)と長崎市の鈴木市長(左端、11日)=共同

国の援護区域外で長崎原爆に遭った「被爆体験者」の一部を被爆者と認めた9日の長崎地裁判決を受け、長崎県・市の大石賢吾知事と鈴木史朗市長が11日、厚生労働省を訪問し、当事者の高齢化を踏まえ問題の早期解決を要望した。

同省の宮崎敦文総括審議官らと面会した後、大石氏は取材に「控訴を断念することが地元の強い思いだと伝えた」と述べた。

法定受託事務として被爆者健康手帳の交付審査を担う県と市は被告だが、体験者救済を国に求めてきた。大石氏は「裁判とは別に、全ての体験者の救済を目指すことに変わりはない」と強調。控訴の判断については「これから議論する」とした。

岸田文雄首相が解決へ向けた調整を武見敬三厚労相に指示したことに関し、鈴木氏は「国、県と情報共有して一緒に検討している。早急に進めたい」と話した。厚労省側は今回の要望について「しっかりと受け止め、今後の協議に臨みたい」と応じたという。

判決は原告44人(うち4人死亡)中15人(うち2人死亡)を被爆者と認め、県と市に手帳の交付を命じた。29人の訴えを退けた。〔共同〕

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