焼酎といえば九州が本場というイメージだが、伊豆諸島で製造される焼酎が今春、「東京島酒」として国税庁からGI(地理的表示)の指定を受けた。焼酎としては18年ぶり5件目、九州・沖縄地方以外では初めての指定。島の蔵元の関係者はブランド力の向上に期待している。11日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)でキックオフイベントがあった。

 東京島酒は麦こうじが原料で、国税庁によると「麦の香ばしさや草木のような清涼感」が特徴。魚の刺し身と一緒に味わうと、脂のうまみと酒のコクがバランス良く重なるという。国税庁の担当者は「流人が製法を伝え、東京都の火山島で生産されるというユニークさとともに、他の酒にはない香味も含まれている」と話した。

 焼酎に詳しい鹿児島大の鮫島吉廣客員教授は講演で、江戸末期に八丈島に流罪となった薩摩出身の商人が、島に焼酎づくりを教えた歴史を紹介。米が作れないというハンディが、麦こうじを原料にすることにつながったとし、「隔絶された風土、知恵と執念が、他に例のない焼酎を生んだ。まさに東京の宝だ」と述べた。蔵元の代表らも「まだ小さな酒蔵が、世界に出て行こうという段階。まずは東京にいる世界中の人に島酒を広めたい」「のびしろしかないので、よろしくお願いします」とアピールした。

 最後の試飲会には100人以上が参加し、東京・西麻布の日本酒専門店オーナーで、日本酒と料理の「ペアリング」の第一人者、千葉麻里絵さんが監修した料理とお酒を味わっていた。(花野雄太)

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