9日は、専門家や自治体の代表などで作る南海トラフ地震対策の国の作業部会が開かれ、8月8日に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」の対応について、意見が交わされました。
会議は非公開で行われましたが、事務局を務める内閣府によりますと、委員でもある高知県の浜田知事が、東海、近畿、四国、九州のうち、防災対策の推進地域が含まれる10県からの提言を報告したということです。
この中では、情報の意味の丁寧な周知に加え、複数の県にまたがる事業者もあることから、ライフライン企業や交通機関など、業種ごとに対応の指針を策定することを国に求めるとともに、自治体が避難所を開いたり運営したりする際の財政支援を受けられるよう、災害救助法の適用対象とすることが必要だとしています。
内閣府は、防災対策の推進地域にあたる29都府県と707市町村や事業者を対象にアンケート調査を実施し、防災計画の策定状況や受け止めについて調べ、必要な改善を進めるとしています。
アンケートのとりまとめは年内を目指すということで、内閣府の担当者は「アンケート結果を踏まえて作業部会で議論し、必要があればガイドラインに変更を反映していく」としています。
「対応あらかじめ統一すべき」の声も 専門家 “悩ましい”
南海トラフ地震対策の国の作業部会でとりまとめ役の「主査」を務める、名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、今回の一連の対応について「臨時情報についてほとんど周知がない中での情報発信だったので、社会はある程度うろたえた」と指摘した上で、出席者から「対応をあらかじめ統一すべきだ」という声が複数出たと明らかにしました。
こうした意見について福和名誉教授は、「例えば、海水浴場を開けるべきか閉めるべきかは、ハザードの大きさなどによって対応のあり方が異なるものだ。これを行動指針として定めたり、『国に言われたから』となったりするのは望ましい方向ではないようにも思えて悩ましい。アンケートの結果も見ながら議論せざるをえないと思う」と述べました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。