2023年7月、カナダのブリティッシュコロンビア州で起きた山火事の煙(ロイター=共同)

 【ジュネーブ共同】世界気象機関(WMO)は5日、微小粒子状物質「PM2.5」などによる大気汚染が原因で、毎年800万人が早死にしているとの推計を発表した。深刻な大気汚染を引き起こす山火事は気候変動が影響していると指摘。大気汚染と気候変動の関連性を強調し、アフリカやアジアで農業にも被害が及んでいるとした。

 WMOは2023年の大気の状態からPM2.5の濃度などを分析し、報告書を作成した。

 報告書によると、気候変動は干ばつや大気の乾燥をもたらし、山火事が起きやすくなっている。カナダでは23年の山火事による焼失面積が、1990~2013年の年間平均に比べ7倍以上を記録。大量発生した煙は米ニューヨークだけでなく、大西洋を越えて西欧にも到達した。

 工場などから排出されるPM2.5は、アフリカ中部やパキスタン、インド、中国、東南アジアの農業地帯でも濃度が高い。作物の葉に当たる日光を遮り、気孔をふさいで光合成を阻害。ある実験では、作物の収穫量が15%も減った。鉛や水銀が作物に付着する恐れもある。

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