神戸市中央区のスポーツ用品メーカー「ヤノ運動用品」は、女性が生理中でも快適にランニングできるよう、新たな「サニタリー吸水ショーツ」を開発した。商品名はフルマラソンの距離にちなんだ「42.195fit(フルフィット)」。吸水、速乾性の高い生地を4層にして漏れの不安や蒸れを解消。その名に込めたようにどんな状況にも対応できる自信作だ。(共同通信=日比杏南)
開発の中心を担ったのは入社3年目で、ランニングが趣味の岡山都来子さん(24)。神戸や姫路のマラソンを完走したこともあり、生理のタイミングと重なる不安を抱えながら出場した経験からアイデアが生まれた。
綿生地を使うことが多い同種商品は肌に優しい一方、蒸れやすいのが難点だと感じていた。漏れを防ぐために締め付けが強く、足を激しく動かす運動に適しているのか疑問もあった。
女性特有の健康課題の解決を目指す「フェムテック」と呼ばれる製品が広がる中でニーズがあると判断し、2023年5月に開発をスタート。生理の悩みは人それぞれのため、女性社員2人に試作品を着用し階段を上り下りしてもらうなどして改善を重ねた。
肌触りの良さ、蒸れにくさ、漏れにくさを両立させるためデリケートな部分を4層とし、肌に触れる層に凹凸のある生地を採用。中に吸水布などを敷き、生理が軽い日ならナプキンなしでも走れるよう工夫した。
生地が横方向に伸びるよう縫製にもこだわった。これにより吸水しても重さを感じにくくなるという。肌に密着する薄いスポーツウエアの下でも形が浮き出ないよう、縫い目の段差も極力抑えた。
開発メンバーの一人、八木ひなたさん(24)は普段から使っているといい「こすれも締め付けもなく、汗をかいても気にならない」と話す。
パッケージには「逆境に耐える」の花言葉があるカモミールをあしらった。3種のサイズで3色展開し、兵庫県内のショップとオンラインで購入できる。各3740円。岡山さんは「体を動かす全世代の女性に使ってほしい」と願っている。
フェムテック 英語のfemale(女性)とtechnology(技術)を掛け合わせた造語。生理や出産育児、更年期といった女性の健康に関わる悩みを最新技術で解決に導く製品やサービスを指す。生理用吸水ショーツの他、月経管理アプリや妊活サポートアプリなどが代表例。市場の拡大が急速に進んでおり、2025年に世界で5兆円規模になるとの推計もある。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。